東広島市福富町のカフェレストランŚaŚa gardenシャシャガーデンの店名は、サンスクリット語でうさぎを表す「シャシャ」という言葉からつけました。インドでは日本と同じく、月とうさぎは切り離せない存在とされています。
■うさぎは慈悲の心の象徴
インドの仏教説話「ジャータカ」には、帝釈天がバラモン(僧侶)の姿になってカワウソやジャッカル、サル、うさぎにそれぞれ施しを求めるシーンが出てきます。動物たちは自分たちが差し出せる限りのものを差し出すのですが、うさぎだけは何も差し出すものがありません。うさぎは自分を食べてもらおうと考え、自ら火に飛び込んでいくのです。
このシーンは手塚治虫のマンガ「ブッダ」にも登場しています。ブッダはこのうさぎが持つような、人に寄り添う人の心を「慈悲」と呼びました。
この行為を称えた帝釈天は月面に山の汁でうさぎを描き、うさぎは天へと還っていきます。インドではバラモン教の経典「ブラーフマナ」の中にも月にうさぎがいるという記述がみられます。
ジャータカに含まれる説話には紀元前3世紀ごろに成立したと考えられているものも多く、うさぎと月はかなり古い段階で結びついていたと考えて間違いありません。中国や日本など、インド以外のアジア各地にも月とうさぎを結び付けた伝承が数多く残っています。
■この庭で過ごす瞬間を楽しんで
サンスクリット語ではうさぎのことを「シャシャ」といい、「支配する」という言葉を「シャース」と言います。月は万物を支配する存在と考えられており、その月とうさぎを表す言葉が似ていたことが、それらを結び付けたのではないかとも考えられています。サンスクリット語では月のことを「シャシン(うさぎを持つもの)」と呼ぶこともあるそうです。
月うさぎは食べ物がこの世を巡廻していく様子や、豊穣の象徴でもあります。すべての食べ物に感謝し、この庭で過ごす瞬間を大切に楽しんでほしい。「シャシャガーデン」という店名には、私たちのそんな願いが込められています。